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16 〜17世紀スペイン美術


エル・グレコ「ラオコーン」

スペインの三大画家の1人と称されるエル・グレコは1541年に当時ヴェネツィア共和国の支配下にあった今のギリシャ・クレタ島で生まれました。

その後ヴェネツィアに渡りティツィアーノ・ヴェチェッリオに弟子入りして絵の勉強をしました。イタリア滞在時は報酬などでの金銭トラブルが絶えず、貧しい暮らししていたとされています。

1576年頃スペインに渡り宮廷画家を目指すしましたが、彼独特の奇抜な構図などが当時スペインで絶対的な権力者だったフェリペ2世には評価されませんでした。しかし知識層や宗教関係者からは大きな支持を得て数々の作品を生み出しました。

ナショナルギャラリーにあるのはエルグレコの「ラオコーン」です。1610〜1614年頃描かれたと見られています。

展示場「28」にあります。

エルグレコ「ラオコーン」エルグレコ「ラオコーン (Laocoon)」c. 1610/1614
これはエル・グレコ唯一の神話画で、包囲するギリシア軍が残した木馬を市内に運ぶことに反対した神官ラオコーンが、木馬に向かって槍を投じたところ2匹の大蛇が現れ、ラオコーンの目をつぶした上で、彼の2人の息子を絞め殺したと言う神話を描いたものです。大蛇に襲われる神官ラオコーンとその息子たちの、鬼気迫る様子がおどろおどろしく表現されています。

絵の中には全能の神ユピテルと巨人の娘レトの子であるアポロと双子の妹ディアナが、神官ラオコーンとのその2人の息子達が絞め殺される様子を見ていますが、1950年代におこなった修復での洗浄によって、画家が塗り潰したと見られる逆の方向を向いたディアナの顔が現れました。

絵の中には、ギリシャ軍が残した木馬の絵も小さめに描かれています。

ちなみに「エル・グレコ」は本名ではなくイタリア語で「ギリシャ人」を意味する言わばあだなです。ちなみに本名は「ドメニコス・テオトコプーロス」で、グレコは晩年に至るまで自身の作品にギリシア語の本名でサインをしていたので彼のアイデンティティーは生まれ故郷のギリシャ・クレタ島にあったのではないかと推察されますね。