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DCインタビュー<後半>社会起業家でIIGRグローバルレジリエンス研究所代表の深見真希さん!


ワシントンで「この人に聞きたい!」インタビュー第16回目は危機管理における組織開発を実践するIIGR=グローバルレジリエンス研究所を創業し、代表として働く深見真希さんにお話を伺いました。後半部分をお伝えします。

深見真希さん略歴
京都大学経済学部卒、京都大学博士(経済学)。2004年海上保安大学客員研究員(チーム訓練開発)、2006年カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員(ICS調査研究)、2005〜2006年と2009〜2011日本学術振興会特別研究員、2010年ジョージワシントン大学危機災害リスク管理研究所客員研究員(アメリカ危機管理研究)を経て、2012年4月に危機管理のプロフェッショナル化を推進する団体International Institute of Global Resilience(グローバルレジリエンス研究所)を設立し代表に就任。2013年に世界中の危機管理に携わる9000人が会員として所属する国際危機管理者協会(IAEM)の日本代表に就任。主な著作に「管理科学としての危機管理(組織科学、2012年)」「危機管理者の育成と運営に関する考察—米国の事例を中心に(公共政策研究、2010年)」「危機のマネジメント(田尾雅夫監訳、翻訳、ミネルヴァ書房)」「よくわかる組織論(田尾雅夫監訳、共同執筆、ミネルヴァ書房)」

%e6%b7%b1%e8%a6%8b%e7%9c%9f%e5%b8%8c%e3%81%95%e3%82%93 社会起業家の深見真希さん
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Qそもそも小さい頃はどんな子供で将来は何になりたいと思っていた?
A子供のころからお転婆で、男勝り。自分のやりたいことはやりたいけど、やりたくないことはやりたくない!という子供でした。先生に何かをやるように言われても「こうやってやった方が結果が出るのに」と反発することが多かったので、学校で校則違反することも多かったです(笑)。

子供のころから将来やってみたいことが本当にたくさんあってコロコロ変わっていましたよ。宇宙飛行士に憧れていた時もありますし、新聞記者、ファッション雑誌のジャーナリストに憧れていた時期もあります。

高校時代は国立大学を目指すような「特別クラス」に入れられたので周囲が真面目な生徒ばかりだったのですが、その中からは少しはみ出しているような生徒だったと思います。

Q大学で危機管理を専門にしようと思ったのは何故?
A両親からは地元の女子大に進んで地元の名門大学出身の男性を見つけていいお嫁さんになることを期待されていたので、私が行きたい大学の受験も許してくれず親が希望する大学を受験させられました。でも私は地元の女子大には行きたくなかったので適当に受験し、真剣に受けないから当然合格もせず、結局2浪することになってしまいました。そのころまでには両親も「どこでもいいから大学に行ってくれ」という感じに変わっていました(笑)。

私も2浪が決まったころから「そろそろ本気を出さないといけない」と思い始め、小論文の全国模試を受けたところ、いきなり全国1位の成績を取ってしまったのです。それを見た友人が「そんなに論文を書くのが得意なんであれば京都大学の経済学部が論文入試を行ってるから受けてみたらいい」と勧めてくれたのです。

調べてみると当時の京大は英語の論文を読んで様々な問題に答えていく論文問題のほか、日本語と数学の3科目を2日間にわたって行うというスタイルの入試だったので興味を惹かれて受けてみることにしました。それまでは自分の中で「これが得意!」というものがなかったので、日本一の論文試験と言われていた京大の試験に受かれば初めて自分でも「論文が得意なんだ」と言えると思って頑張って勉強しました。合格した時はやはり嬉しかったです。

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Q京大に入学してみて?
A経済が勉強したいと言うよりも、論文を書きたくて入学したような感じだったので大学1年の終わりに所属するゼミを決める必要があった時も、論文が重視されるというゼミに入ることにしました。そのゼミがたまたま「非営利組織論」という営利企業以外の組織の経営学を学ぶゼミだったのです。

ゼミの先生からは「論文入試で入学したんだったら、普通に社会に出て就職するよりも研究者になった方が早いよ」と言われたこともあり、「自分の得意な論文を書くことを仕事にできるなら研究者になろう。」と思うようになり、結局先生の研究室のお手伝いもしながら大学院を目指すことになりました。そしてそのままその先生について博士号まで行くことになってしまいました(笑)。

Q何故危機管理を勉強しようと思ったのですか?
Aスキューバダイビングを趣味でやっていたこともあり、海に関心があり、日本の海上保安庁の現場を見るために沿岸部を回ってリサーチをすることにしました。そのうち海の危機管理を自分のテーマにしようという気持ちが固まりました。

でも特殊なテーマで先達がいなかったのでまず審査できる専門家が大学院にいなかったので教授陣も困っていたようで「そんな研究しても就職先はない」とも言われました。でも私は「危機管理はこれから重要になる」と直感で感じていたのであまり心配はしていませんでした。何より自分の好きな研究を細々と続けることができれば良かったんです。

ただ、大学院生にとっては一番のステータスでもある日本学術振興会の特別研究員に、二度も採用してもらえたので、研究テーマの重要性は認めていただけていたと思います。

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研究者時代。東京消防庁にてヒアリング中。

Q博士課程の1年目に海上保安大学校客員研究員になっていますが、どんな研究をしていた?
A海の危機管理をやるってことで大学院に入りましたが色々調べているうちに制度論で追求するよりもミクロ単位での組織単位でのマネジメントを見たいと思うようになりました。そんな時、海上保安庁が巡視船の乗組員を対象とした船の安全航行のためのチームマネジメントを向上させるための訓練をアメリカの沿岸警備隊にならって取り入れることになったので、私の研究テーマにもぴったり合うので取材させてほしいと頼み込み、結局、海上保安大学の客員研究員として様々な現場を見せて頂くことになりました。ただアメリカの沿岸警備隊で教えられている概念がきちんと伝わっていなかったので、海上保安大学校の先生にもそう伝えたのですが、その時にいかに日本に輸入概念を正確に伝えることが難しいのかと言うことに気付きました。話を聞くうちにきちんとした教科書も日本にないことに気付いたので、アメリカの原書を翻訳して「危機のマネジメント」と言う題名で出版もしました。

Qその後、2006年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員に来ることになったきっかけと行ってみた感想は?
A UCLAの先生がたまたま私の所属している研究所に来たのですが、その際「うちに研究に来てみたら?」と誘って頂いたので夏の間だけカリフォルニアに研究に行くことにしました。滞在中はロサンゼルスの郡の対策本部に行ったり、ロサンゼルス市の危機管理、ロス市警や病院などに様々な現場に取材に行ってみました。私は短い期間でなんとか成果物を書き上げないといけないと焦っていたのに、UCLAはハリウッドのど真ん中にあるからか、学生も教授も皆のんびりしていて、誘ってくれた教授もなかなかアポを取ってくれなかったので結局自分で走り回ってアポを取って取材をして論文を書いたので結構苦労しましたよ(苦笑)。そのとき、西海岸と東海岸は文化が違うと実感しましたね。

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Q2008年に博士号を取得していますがその時の気持ちは?
A修士号を2年で取得した後、3年で博士論文を書き上げるのがかなり大変で、一度は「もう書けない!」とまで思い詰めました。ある教授に「とにかく早く書き上げなさい。あなたが選んだ分野で博士論文を書いた人は日本には誰もいないんだから、あなたが第一号になるためにも早く書き上げなさい!」と叱咤激励されて、死にものぐるいで「アメリカ危機管理に関する組織論的考察」と言う博士論文を書き上げました。FEMAが何故生まれたかと言うことからICS(=緊急時総合調整システム)を使ってどうやってアメリカの危機管理が発展して来たかを書いたものです。締め切りの前日の夜、製本をしに行き、待っている間に友人と夕食を食べに行ったのですが、そのとき1杯だけビールを飲んだら気を失ってしまい、その後しばらく片耳が聞こえなくなってしまいました。それほど緊張が高まって疲れきっていたんだと思います。(笑)。

Q2010年からはジョージワシントン大学危機災害リスク管理研究所客員研究員としてワシントンDCに来ていますか?
Aアメリカの危機管理を研究テーマにしているので日本にいても仕方がないと思ってポスドクの間はアメリカに行くことにしました。ジョージワシントン大学にしたのは、アメリカで最初に危機管理の学位を作った大学だったのとFEMAとも近い関係にあるので選びました。

社会人を対象にした大学院なので学生には軍人や消防士、シークレットサービスなど実務家の人が大勢いたので、学生の話を聞いているだけでも面白かったですし人脈も増えて行きましたね。

QワシントンDCの生活はどうでしたか?DCでは将来の旦那様とも出会っていますが?
AワシントンDCに初めて来た時には人が優しいし他人に対して丁寧で居心地がいいので初めて来た時は感動しました(笑)。
1年後の2011年の8月にいったん日本に戻らなければいけなかったので帰国しましたが、その頃までにはIIGRの設立をしようと言う話も出ていたので、観光ビザで2〜3ヶ月ごとに日本とDCの間を行ったり来たりすることになりました。

ちなみに主人とは2010年にワシントンDCに来てすぐ、同じアパートにたまたま住んでいたことがきっかけで知り合いましたが、まさか結婚するとは思いませんでしたね(笑)。しばらくはずっと友人関係だったのですが、311が起きた後、私は自分がやっていたことが役に立たなかったとかなり落ち込んでいた際、主人が一生懸命「君のやっていることはとても価値があることで、そのおかげで救われるはずの命があるんだから研究を続けないとダメだ」と励まされて、それから徐々に距離が近くなって行った気がします。今でも仕事に関してはいつも様々な面で協力してくれます。

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Q今後の目標、課題は?
AIIGRでもIAEMでも私の後を継いでくれる人の育成をしたいですね。アメリカには危機管理の実務家のプロでありながらCEOとしても優秀な人がいるので、日本でもそういう人材の層を厚くしたいです。私は学者で研究者なので本当は実務経験のある人が私が今いる立場に立つ方が望ましいと思っています。組織の専門家としては5年ごとに抜本的なことを変えて行かないといけないと思っているのですが今年でちょうど設立から5年を迎えるので、次の5年をどうしていくか、今年はじっくり考えたいと思っています。

来年にはIAEMの日本支部も日本国内で法人化したいと考えています。

Q深見さんのように社会起業家になりたい若者へのアドバイスは?
Aまずはやりたいことがあればチャレンジしてみたらいいと思います。たとえ失敗してもやりなおしはきくので、失敗を恐れずチャレンジして行くことですね。人から押し付けられたことではなく、自分自身が本当にやりたいと思うことをやって行くのが一番大切だと思います。やりたいことが見つからない人はとにかく自分が得意なことを伸ばして行くことですね。そうすれば見えて来ることもあるのではないでしょうか。私自身も最初はやりたいことをやったと言うよりも、論文を書くのが得意だったのでそれを追求するところから始まりました。自分が得意なことを見つけると自信も出て来ますし、生きて行くのが楽になると思いますよ。

Qありがとうございます!

インタビュー後記
自分の得意なこと、やりたいことを追求するうちに、いつの間にか日本と言う国を飛び出して、異国の地であるアメリカで社会起業家としてNGOを立ち上げた深見真希さん。そのしなやかなで力強い生き方ぶりは頼もしくてかっこ良く、誰にとっても参考になるのではないでしょうか。ちなみに、インタビューさせて頂いてからしばらくしてフォーブスジャパンから「世界で戦う日本の女性55人」の1人にも選ばれています!

インタビューさせて頂いた際には第2子をちょうど妊娠中でしたが、その後無事にお子さんも産まれて今は2人の子育てと仕事の両立に奮闘していらっしゃいます。

まだまだ若い真希さんですから、これから益々大活躍の予感がします。日本を代表する世界で活躍する女性として益々輝いて行ってほしいと思います。応援していますよ〜!

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