2012年の大統領選で善戦したアメリカ共和党の保守派、リック・サントラム元上院議員(57)が27日、ペンシルベニア州で演説し、2016年の大統領選に出馬すると表明しました。共和党の候補者指名争いに名乗りを上げたのはこれで7人目になります。

1958年にイタリア系アメリカ人の父親とイタリア系とアイルランド系の血を引く母親の間に生まれたサントラム氏はウェストバージニア州とペンシルベニア州で幼少期を過ごし、イリノイ州の高校を卒業した後、ペンシルベニア州立大学で政治学を学び1980年に学士号を取得。その後、ピッツバーグ大学でMBA、ディッキンソンロースクール(現在はペンシルバニア州立大学の一部)で法学士を取得して法律事務所で4年程弁護士として働きました。
政治に関わるようになったのは大学時代に上院議員に出馬する事務所でボランティアとして働いたのがきっかけで、その後ペンシルベニア州のドイル・コーマン上院議員のアシスタントなどを務めています。
そして1990年にペンシルベニア州から下院選に立候補し、32歳の若さで下院議員に当選し1995年まで2期務めた後、上院議員に鞍替え。2001年には上院共和党のナンバー3にあたる上院共和党会議議長に42歳で就任しましたが、3期目を目指す2006年の上院選でライバルに18ポイントの大差で破れ上院議員は引退を余儀なくされました。
2012年の大統領選では、当初は泡沫候補と見られていたものの、初戦のアイオワ州党員集会で勝利したことで勢いに乗り、「同性婚や人工中絶に反対」など伝統的な価値観や「小さな政府」を掲げ保守層の支持を受けて11州で勝利。指名を獲得したミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事に続き、最終的に2番手に食い込む善戦ぶりを見せました。

ちなみに、中絶反対を掲げているだけあって子供はなんと7人とかなりの子だくさんです。一番下の娘さんが染色体異常で起こるエドワーズ症候群を患っているのですが、27日の出馬表明ではその娘さんも一緒に、家族に囲まれて登壇しました。
祖父がイタリアからの移民で鉱山で作業員として働いていた事から、「ブルーカラーの代表」「中間層の代表」を自負するサントラム氏は演説の中でアメリカの中間層のために経済を立て直す事を約束したほか、「アメリカ国税庁の廃止」や「税の一律化」「不法移民の取り締まり」「小さな政府」を約束。
「前回の大統領選では議論(の流れ)を変えた。今回は皆さんの助けと神のご加護でこの国を変える(=The last race, we changed the debate. This race, with your help and God’s grace, we can change the nation,)」と呼び掛けました。
ただ、今回は共和党だけ候補が既に7人もいて、クルーズ氏やハッカビー氏などサントラム氏と同じく保守派を基盤とする候補が複数いるため、その中でどうやって一歩抜きん出ることができるのかがサントラム氏の課題です。

とは言え、政治専門サイトのリアルクリアポリティックスによりますと、共和党候補の中でサントラム氏への支持はわずかに2%と全く広がりを見せていないのが現実です。
世論調査(FOX News 5月14日)
※共和党候補者への支持
Bush 13%
Carson 13%
Walker 11%
Huckabee 10%
Rubio 9%
Paul 7%
Cruz 6%
Christie 6%
Perry 2%
Santorum 2%
Kasich 2%
Fiorina 1%
Jindal 1%
共和党の中からは来週までにさらに2人の出馬表明が続くと見られていて益々混戦模様となって面白くなりそうです。
以下をぽちっと押して頂けると更新の励みになります 。宜しくお願い致します!
↓